自己破産実例3|任意整理の返済が困難に…でも家族を守り生活再建した方法
自己破産の実例 ケース3
任意整理を検討していたが、結婚・妊娠・収入減で自己破産を決断
お悩み(名古屋市在住・Sさん/30代・会社員)
「結婚を控えており、借金が減らない状況が不安…」
このままでは、パートナーにまで迷惑をかけてしまうのではと悩んでいました。
両親の生活が苦しく、消費者金融から多額の借金を抱えてしまったため、Sさんは両親の生活費を補う目的で、自らも借入れを繰り返すようになってしまいました。
Sさんご本人にはもともと借入れの必要性はなかったものの、ご両親を支えるうちに借金総額が膨らみ、自分自身の生活も苦しくなっていきました。
近く結婚を控えており、「これ以上パートナーに迷惑をかけたくない」「将来を安心して迎えたい」という強い思いから、当事務所にご相談いただきました。
問題となるポイント
- 両親の生活を支えるためとはいえ、自身の借金も膨らんでしまった場合、どのような債務整理手続きが最適なのか?
- 結婚を控えている状況で、借金が減らず不安が募る中、任意整理で十分な効果が得られるのか?
- 生活に必要な支出を削っても、毎月の返済額が負担になっている場合、返済を継続するのは現実的なのか?
- 借入れの主な原因が家族の生活費であったとしても、自己破産は可能なのか?
現状
借金及び財産の状況
借金
| 借入先 | 借金 | 財産 |
|---|---|---|
| 消費者金融8社 | 約350万円 | ・家財道具 |
| 信販会社1社 | 約50万円 | |
| 合計 約400万円 | 合計 約2万円 | |
*家財道具について
冷蔵庫・テレビ・洗濯機などの生活必需品は、原則として処分の対象にはなりませんので、そのまま保持することが可能です。
ただし、ローンが残っている場合は原則として返却が求められる可能性があります。また、生活必需品以外の貴金属・高級家電・絵画などの資産価値の高い品物については、換価対象となることがありますので注意が必要です。
月々の家計の状況
| 収入 | 支出 | |
|---|---|---|
| Sさんの収入 約22万円 | 生活費(家賃、食費等) 約17万円 | |
| 保険料・積立金等 約2万円 | ||
| 奥様の収入 約20万円 | ||
| Sさんの借金返済 約10万円 | ||
| 合計 約42万円 | 合計 約29万円 |
※月々の収入から借金の返済を除いた支出合計を引くと23万円となります。これが余剰金(月々の収入から返済に充てることができる金額の基準)です。
解決のご提案
当初は、Sさんの収入と奥様の協力によって、任意整理での返済が十分に可能な状況でした。奥様も債務整理の必要性を理解されており、支払いが終わるまでは生活費を奥様側が全額負担し、Sさんの収入(月約22万円)をすべて借金の返済に充てることで返済計画を立てていました。
このような背景から、ご本人の意向を尊重し、まずは任意整理手続きを受任しました。
しかし、手続き開始後まもなく奥様が体調不良で長期休職を余儀なくされ、さらに妊娠が判明。出産と育児のために奥様が退職されることとなり、収入がSさんのみに限られました。加えて、出産費用や今後の養育費といった支出が確実に増える見通しとなり、毎月の返済を継続することが現実的に困難となってしまいました。
そのため、奥様の妊娠や収入減による生活の変化により、予定していた任意整理から方針転換し、自己破産を決断しました。
チェックポイント
- 任意整理を進める予定だったが、奥様の退職により世帯収入が激減したこと
- 出産・育児に向けて将来的な支出が大幅に増加することが確実だったこと
- 奥様が退職に至った経緯(妊娠・体調不良)を裁判所に説明する必要があり、医師の診断書や退職届の写しなどの証明書類の提出が求められた
手続きの結果
任意整理からの方針変更を余儀なくされ、途中で自己破産へ切り替えたSさんのケースでしたが、裁判所にも事情を丁寧に説明した結果、無事に免責が認められ、自己破産が成立しました。
手続きの期間と費用
- 手続き期間:
- 受任からの申立てまで約5か月,申立てから免責許可まで約3か月、合計約8か月
- 費用:
- 当事務所報酬(着手金を除く):39万円(申立時に一括払い)
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