個人再生とは?|住宅を守り、借金を大幅減額する方法を徹底解説
個人再生とは?住宅を守る債務整理の仕組み
個人再生は、住宅を残しながら借金を大幅に圧縮できる、いわば「家族の暮らしを守るための再生計画」とも言えます。
個人再生とは、裁判所に申立てをし、借金を最大で100万円まで減額(債務総額が500万円を超える場合には80%~90%の減額)してもらい、原則3年間で分割で支払いをする手続きです。
例えば500万円の借金なら100万円まで減額になり、毎月の返済額を最大で約27,800円に減らすことができます。加えて、将来発生する利息は全てカットしてもらえるため、返済総額を大幅に減らすことができます。
主に、「住宅ローンがありマイホームを手放したくない方」や「債務総額が多いものの自己破産だけは避けたい方」が選択する手続きと言えるでしょう。
自己破産と異なり借金の一部は返済するため、浪費やギャンブルが原因の借金でも利用できる点も個人再生の特徴です。
ただし、個人再生については裁判所の認可と債権者の一定数の同意が必要です(小規模個人再生の場合)。借金総額が5,000万円を超える方は法律上利用できないなどの条件もあります。そのため、人によっては個人再生が認められず不成立になるケースもあります。
司法書士事務所LEGAL SQUAREは、名古屋で20年以上、債務整理に特化して業務を行っており、借金問題の解決実績は1,500件以上(相談1万件超)に上ります。中でも個人再生手続きについては、名古屋地方裁判所での取扱いや債権者同意のハードル等を熟知しており、全国的に件数が少ない手続きですが多数の成功実績があります。
「個人再生が本当に自分にとってベストなのか?」という点も含め、これまでの経験から丁寧に判断しアドバイスいたしますので、借金に悩む方はお気軽にご相談ください。
個人再生で借金は大幅に減額される?返済期間は?
個人再生(小規模個人再生)により債務の減額される金額・割合
大幅カットの範囲(最低弁済基準額)
| 債務総額が100万円未満の場合 | 減額はありません |
|---|---|
| 債務総額が100万円以上、500万円未満の場合 | 最高100万円まで減額 |
| 債務総額が500万円以上、1,500万円未満の場合 | 最高借金総額の5分の1まで減額 |
| 債務総額が1,500万円以上、3,000万円未満の場合 | 最高300万円まで減額 |
| 債務総額が3,000万円以上、5,000万円未満の場合 | 最高借金総額の10分の1まで減額 |
例えば、500万円の借金なら最低弁済額は100万円となり、400万円の減額(80%減)が可能です。
1000万円の借金なら最低弁済額は200万円(5分の1)ですから800万円減額されます。
このように個人再生を使えば借金が約80~90%減額されるケースも珍しくありません。任意整理(将来利息カットのみ)では元本までは減りませんから、ここまで大幅に元本カットできるのは個人再生の大きな魅力です。
個人再生による返済期間
原則3年(例外的に5年に認められる場合もあります。)
返済期間については、原則3年間(36回の分割払い)で計画を立てるよう法律で求められています 。特別な事情がある場合に限り、裁判所の許可を得て最長5年(60回払い)まで延長することも可能です。例えば大幅減額後とはいえ月々の返済が厳しい場合など、柔軟に計画変更が認められることがあります。ただし基本は3年で完済するプランが標準です。
将来利息のカット
個人再生の手続きをすることにより将来の利息を0%にしてもらうことが可能です。
個人再生では将来利息は全てカットされます。そのため返済総額も大幅に圧縮できるのです。例えば先の例で500万円→100万円に減額された人は、3年間で100万円を返済すればよく、新たな利息は一切つきません。月々約27,800円の支払いで済みます。利息カットは任意整理でも期待できますが、元本自体も減る点で個人再生は非常に強力です。
補足:上記の最低弁済額と別に「清算価値保証の原則」といって、もしあなたの持つ財産(現金・マイホーム等)の価値が最低弁済額を上回る場合は、その財産額までは支払う必要があります 。例えば借金1500万円・財産200万円の方なら最低弁済額300万円>財産200万円なので300万円返済ですが、借金2000万円・財産400万円の方は最低弁済額300万円<財産400万円なので400万円返済になります 。つまり財産が多い人はその分返済額が増える仕組みです。
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個人再生をおすすめするケース5選
債務整理には5種類(任意整理、個人再生、自己破産、消滅時効、過払い金請求)の手続きがありますが、個人再生が特におすすめの方は次の5つのケースです。
1. 住宅ローンがある。(住宅を残したい。)
住宅ローンがある場合には、自己破産の手続きをすると、住宅を失うことになります。
しかし、個人再生(住宅ローン特則付)であれば、住宅ローンの支払いを続けて住宅を残すことができます。
これこそ個人再生の最大のメリットです。
例えば債務総額500万円(住宅ローン除く)の方が、住宅ローンとは別に任意整理で返済していくのが難しい場合、個人再生で住宅ローン以外の借金をまとめて減額してしまった方が良いケースもあります。住宅を守りたい方には個人再生が有力な選択です。
2. 債務総額が500万円以上ある。
債務総額が500万円以上ある場合には、最大で100万円(債務総額が500万円を超える場合には80%~90%の減額)まで減額されますので、債務大幅な圧縮により、任意整理よりも月々の返済額が少なくなります。
例えば、債務総額500万円で、任意整理をした場合、5年払い(60回払い)でも月額約83,400円となるのに対し、個人再生の場合には、債務総額が100万円に減額されるため、3年(36回払い)で月額約27,800円を支払えばよいことになります。
3. 給与の差押えを受けている。
債権者から既に訴訟等をされて、給与を差し押さえられている場合、債権者は任意整理による和解交渉に応じてもらえないことがほとんどです。
理由は、債権者は勤務先の会社の給与から、直接かつ確実に毎月回収できるため、任意整理による分割和解に応じるメリットがないからです。
それに対して、個人再生の場合には、裁判所に申立てをすることにより、法律の力により差押えをストップして給与の差押えを止めてもらうことができます。毎月の給料が満額受け取れるようになり、再生計画で立て直すことが可能になります。
4. 借入原因がギャンブルや浪費である。
個人再生は、自己破産と違い、借入原因がギャンブルや浪費であっても問題なく手続きをすることができます。
その理由は、自己破産が借金を全額免除してもらう(免責)であるのに対し、個人再生は借金の一部を返済するため、「免責不許可事由」の審査がなく、借入原因は特に審査の対象とはならないからです。
裁判所が重視するのは、「減額後の借金をきちんと返済できるか?」という一点です。ですから、自己破産だと認められるか不安…という方でも、個人再生なら安心して利用できます。
5. 毎月の収入が安定しており、減額後なら十分返済できる見込みがある。
個人再生は、債務を最大で100万円まで減額(債務総額が500万円を超える場合には80%~90%の減額)してもらい、原則3年間で分割で支払いをする手続きです。
そのため、裁判所は「減額後の返済をきちんと3年間払い続けることができるか?」ということを審査しますので、自営業者やアルバイト等の収入に変動がある人よりも、会社員で毎月の収入が安定している人の方が認められやすい傾向にあります。
申立て前2年間に、月収が5分の1以上の変動したことがある場合には、裁判所も厳しく審査しますので注意が必要です。
個人再生を避けるべきケース5選
1. 債務総額が5,000万円を超えている。
個人再生の手続きができるのは、債務総額が5,000万円以下(住宅ローンを除く)の場合に限られます。(民事再生法 第221条1項)
したがって、債務総額が5,000万円を超える場合には、個人再生の申立て自体ができません。このような方は、自己破産の手続きを検討していただくことになります。
2. 安定した収入がなく、減額後でも返済できる見込みがない。(返済原資がない。)
個人再生は、債務を最大で100万円まで減額(債務総額が500万円を超える場合には80%~90%の減額)してもらい、原則3年間で分割で支払いをする手続きです。
そのため、裁判所は「減額後の返済をきちんと3年間払い続けることができるか?」ということを審査しますので、会社員のように毎月の収入が安定している人の方が認められやすい傾向にあります。
一方、無職や、アルバイト、自営業者で安定した収入がない方は、返済計画どおり返済ができる見込みがないと裁判所に判断されて個人再生を認めてもらえない可能性がありますので、そのような場合には自己破産を検討していただくことになります。
また、安定した収入はあるものの、個人再生による減額予定後の金額を支払えそうにない方も、個人再生の手続きをすることは難しいものと思われますので、やはり自己破産を検討していただくことになります。
3. 債権者数が極端に少ない。
個人再生(小規模個人再生)は、一定の債権者(半数もしくは債務総額の半額を超える債権者)から反対されると認められません。
よって、債権者数が少ない(4社以下)、もしくは1社だけで債務総額の半額を超える債権を持っている(例:債務総額500万円に対して1社が251万円の債権を持っている。)場合には、債権者から反対をされて個人再生が認められないリスクが高いと言えますので、小規模個人再生は避けるべきです。
このような場合は、給与所得者等再生という方法なら債権者の同意不要で進められます。
ただし、給与所得者等再生では、可処分所得の2年分(裁判所の定める基準)まで減額されますが、この「可処分所得」は、生活保護受給者を基準にした最低限度の生活費を控除して計算されるものであるため、小規模個人再生に比べて債務の減額幅が圧倒的に少なくなることがほとんどです。したがって、大幅な減額が見込めない場合には、給与所得者等再生をするメリットはほとんどありません。
4. 夫婦でペアローンの住宅ローンを借りている。
住宅ローンの夫婦のペアローンとは、夫婦がそれぞれローンを組み、各自の住宅ローンを担保するために住宅全体に抵当権を設定するローン契約のことです。
この場合には、原則、夫婦そろって二人で個人再生(住宅ローン特則付)を申し立てなければなりません。夫婦の片方だけで個人再生をしても住宅ローン特別条項付きの個人再生は認められません。
5. 財産が多い方。(清算価値保証の原則)
個人再生は、債務を最大で100万円まで減額(債務総額が500万円を超える場合には80%~90%の減額)してもらうことができます。ただし、財産が多い(現金、預貯金、不動産、退職金見込額や保険に入っていて解約返戻金が多い等)場合には、その財産価格までしか減額をしてもらうことができません。これを清算価値保証の原則といいます。
つまり、「財産がある方は、その財産額にあたる金額は最低限支払ってください。」という考えに基づくものです。
したがって、財産が多い方は大幅な減額を見込めないため、個人再生の手続きではなく、任意整理などの手続きを検討していただくことになります。
名古屋地方裁判所における過去の個人再生の実例
債務総額 約600万円 債権者数 3社(A銀行 約300万円、Bカード 約160万円、C消費者金融 約140万円) 借入期間 約5年
約10年前のことです。債権者が3社という少ないケースでご相談がありました。依頼者の方には「小規模個人再生は、一定の債権者(半数もしくは債務総額の半額を超える債権者)から反対されると認められません。今回、債権者が3社しかおらず、かつA銀行については保証会社がBカードになっており、債務整理開始通知を発送後にBカードがA銀行に代位弁済(保証会社による肩代わり)を行います。そのため、Bカード1社で小規模個人再生の否決権(決定権)を持ってしまい、まず間違いなく反対をしてくることが予想されます。債権者の同意が不要な「給与所得者等再生」か自己破産で手続きを進めましょう!」と提案したところ「債務総額を5分の1にして120万円で返済をしていきたいので、ダメでもいいので小規模個人再生で進めてください。」と強い要望があったため、小規模個人再生の申立てを名古屋地方裁判所にさせていただきました。
その後、裁判所からは再生手続き開始決定をしてもらい、手続き自体は順調に進んでいきました。裁判所としては小規模個人再生を認める方向で進めてくれていました。しかし、最後の債権者決議で予想どおりBカードが反対をして再生手続きが否決されてしまいました。
Bカード側からすると460万円ある債権が92万円の5分の1にされる訳ですから、1社で否決権(決定権)がある以上、反対をするのは当然のことと言えます。
その後、依頼者の方には事情を説明して、給与所得者等再生の手続きに切り替えて無事に給与所得者等再生の認可を得ることができました。
お母様を扶養に入れていたこともあり、可処分所得の2年分の金額が約230万円となり、債権者の同意も得ることなく無事に給与所得者等再生の認可を得ることができました。(扶養に入れている場合には扶養している方の生活費も含めることができますので、可処分所得の金額がかなり減額されます。)
この事例以降は、当事務所では債権者数が4社以下の場合や1社で債務総額の半分以上を持つ債権がいる場合には、最初から小規模個人再生以外の給与所得者等再生、任意整理、自己破産の手続きをご提案するようにしております。
まとめ 個人再生の事務所選びの決め手
① 債務整理専門で長年実績のある司法書士・弁護士事務所であること。
個人再生はもちろん任意整理・自己破産も含め、債務整理全般に精通した事務所を選びましょう。開業して間もない事務所や普段あまり債務整理を扱わない事務所だと、個人再生のノウハウ不足で手続きが円滑に進まない恐れもあります。当事務所のように「債務整理一筋」で長年やってきた専門家なら安心です。
② 個人再生の解決実績が豊富な事務所であること。
個人再生は全国的に見ても件数が少ない手続きです。中には「過払い金や任意整理はやったことあるけど個人再生は未経験…」という事務所もあります。個人再生の経験が多い事務所かどうか、実績数を確認しましょう。当事務所はこれまで小規模個人再生・給与所得者等再生合わせ多くの認可実績があります。
③ 担当司法書士・弁護士の債務整理実務経験が長く、個人再生の取扱実績があること。
その事務所で誰が担当者になるか分かりませんが、担当者が個人再生に不慣れでは困ります。必ずしもベテランである必要はありませんが、個人再生を実際に扱ったことがある司法書士、弁護士だと安心感が違います。依頼前の相談時に「先生ご自身は個人再生の案件やったことありますか」と聞いてみるのも良いでしょう。当事務所代表の寺田は債務整理実務20年以上です。
④ 申立予定の裁判所のローカルルールに通じているか。
個人再生手続きは地方裁判所が管轄しますが、裁判所によって要求する書類や審査の厳しさなどにローカルルールや癖があります。名古屋地方裁判所への申立てなら、名古屋で多数の再生案件を扱った事務所が適任です。東京や大阪の大規模事務所でも代理申請はできますが、地元の裁判所事情に詳しいかは未知数です。当事務所は名古屋地裁の実務に通じておりますので、その点の強みがあります。
⑤ 費用だけで判断せず、無料相談を活用して信頼できる事務所か見極めること。
債務整理は司法書士、弁護士費用が気になるところですが、極端に安価な広告に飛びつくのは危険です。費用より大切なのは「この事務所に任せたい」と思えるかどうかです。無料相談で実際に話を聞いてみて、対応の丁寧さや説明の分かりやすさ、人柄など総合的に信頼できるか判断しましょう。債務整理は完了まで数ヶ月~半年以上のお付き合いになります。長く付き合えるパートナーとしてふさわしい事務所を選ぶことが成功への近道です。
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司法書士事務所LEGAL SQUAREでは、1,500件を超える債務整理の実績に基づき、個人再生手続きの専門知識とノウハウを熟知しています。
住宅ローンがある方の個人再生についても豊富な成功実績があります。