特定調停 vs 任意整理|違い・メリット・デメリットを徹底比較

特定調停は自分で裁判所に申立てをする債務整理手続きですが、成功率が低く任意整理の方が有効です!

特定調停と任意整理の違いは?

特定調停とは、借金の減額・分割をしてもらうために、自分で簡易裁判所に申立てを行い、調停委員を介して債権者と和解交渉する法的手続きです。

一方、任意整理は裁判所を通さず司法書士事務所LEGAL SQUARE(名古屋で実績20年・1,500件超)などの司法書士が代理交渉する手続きで、こちらが一般的です。

特定調停は、債権者(カード会社、消費者金融等)と和解交渉をして、和解後の利息(将来利息)をカットしてもらったうえで、返済期間を原則3年の分割払いにしてもらう手続きとなります。

特定調停と任意整理はどちらが選ばれているの?

特定調停は、手続きをする債権者を自由に選択することができます。したがって、住宅ローンや自動車ローンを除いて手続きができるのはもちろんですが、保証人がついている債権者を除いて手続きをすることも可能です。

手続きの期間も約3~4か月と比較的短く、申立費用も約1,000円(収入印紙代、郵便切手代)と安く、費用を抑えて手続きをすることができます。

ただし、特定調停は、原則として債権者の住所地の管轄裁判所に申立てをしなければならず、申立て後には1~2回はその裁判所に出頭する必要があること、また調停が成立しないこともあるため(成立率は3%~14%)、費用面以外のハードルが非常に高く、申立件数も年々減少傾向にあります。

実務上は、特定調停よりも圧倒的に任意整理の手続きを選択する方が多いのが現状です。

特定調停のメリット・デメリット

特定調停のメリット特定調停のメリット

特定調停の
3つのメリット

利息(将来利息)を支払う必要がない。

特定調停が成立すれば、調停後の利息は利息制限法の範囲内でも基本ゼロになります。

特定調停をする債権者を自由に選択できる。

住宅ローン、自動車ローン、保証人がついている債権者を除いて手続きができます。

違法な利息を取られている場合には債務額を減額することができる。

平成22年6月18日以前からの借り入れがある場合には、利息制限法を超える違法な利息を取られていることがあり、その場合には利息の引き直し計算をして債務を減額してもらうことができます。

特定調停のデメリット特定調停のデメリット

特定調停の
7つのデメリット

債権者の住所地を管轄する裁判所に申立をしなければならない。

債権者の会社が東京にある場合には、東京簡易裁判所に申し立てをしなければならず、遠方の裁判所になることが多くなります。裁判所が遠方の場合には、時間と費用がかかることになります。

裁判所に1~2回は出頭しなければならない。

裁判所が遠方の場合には、時間と費用がかかることになります。

特定調停が成立しない場合がある。(成立率は3%~14%)

特定調停の成功率は3%~14%と低く、成立しないことがよくあります。調停が成立する見込みがない場合には、裁判所による17条決定(*)がされることもあります。

*17条決定とは・・・民事調停法17条に基づき、調停がまとまらない場合にされる裁判所の職権による決定です。この決定は調停成立と同様の効力があります。ただし、決定に対して異議申し立てがある場合には、決定は無効となり、調停は不成立となります。

必ずしも調停委員が債務整理の専門家ではない。

裁判所によって選任される調停委員は債務整理の専門家ではないことが多いため、スムーズに和解をまとめられないこともあります。

特定調停の成立後に約束どおりの返済ができない場合には、給与などの差押えをされる場合がある。

2回支払いが遅れると債務名義を取得されて強制執行される場合があります。給与や預金などが差押えされてしまいます。

ブラックリストに載るため、原則5年~7年間は借入れができなくなる。

特定調停をしたことをブラックリストに記載されて、完済後5~7年間は借り入れができなくなります。

過払い金がある場合でも、特定調停では取り戻すことができない。

平成22年6月18日以前からの借り入れがある場合で、違法な利息がとられていたことにより過払い金があることが判明した場合でも、特定調停では過払い金は返還されません。

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特定調停はこのような方に最適(手続きできる人・できない人)

このような方に最適な手続きです。

「できるだけ費用をかけたくない。」という方に最適

特定調停は、債務整理の手続きのうち、最も安くできる手続きです。費用は1社あたり約1,000円(収入印紙、郵便切手)です。
また、裁判所を介する手続きで、調停委員も間に入って話を進めてくれるため、一方的に債権者のペースで話を進められてしまうという不安もありません。例え、裁判所が遠方であっても、時間と多少の旅費をかけても構わない方にとっては、債務整理の一つの選択肢と言えます。

特定調停の手続きができる人・できない人

特定調停を選択する際に最も重要になるのが「毎月いくらまでなら返済ができるのか」ということです。

債務を原則36回で支払いができるだけのお金(返済原資)が必要になります。

返済は36回(3年)と長くなりますので、まずはご自身の家計を把握し、月々の収支が分かるようにしておくことで、無理のない返済計画を立てることができます。

特定調停の手続きができる人

できる例

例: 債務総額100万円 債権者数 2社(A社 50万円、B社50万円)の場合

特定調停後の返済予定額 A社 約14,000円、B社 約14,000円 合計 約28,000円(36回払い)

▶ 月々の収入から、生活費を引いても自由になるお金(返済に充てるお金)が28,000円以上ある方
(パート、アルバイトの方でも手続きは可能です。)

収 入 給与 20万円
支出自由になるお金 5万円  返済に充てることが可能
生活費 15万円
家賃・食費・光熱費・ガソリン代など

特定調停の手続きができない人

できない例

例: 債務総額100万円 債権者数 2社(A社 50万円、B社50万円)の場合

特定調停後の返済予定額 A社 約14,000円、B社 約14,000円 合計 約28,000円(36回払い)

▶ 収入がない方
▶ 月々の収入から、生活費を引くと自由になるお金(返済に充てるお金)がない方

収 入 給与 20万円
支出自由になるお金 0万円  返済に充てることができない
生活費 20万円
家賃・食費・光熱費・ガソリン代など

特定調停の手続きの流れ

期間 約3~4か月 ご自身ですべてやっていただく手続きとなります。

特定調停の手続きの流れ

特定調停より任意整理を選ぶべきケース5選

債務整理には、ご自身で裁判所に申立てをして手続きをする特定調停と司法書士、弁護士等の専門家が代理して行う任意整理の手続きがありますが、特定調停より任意整理をしたほうがよいケースは、次の5つのいずれかに該当する場合となります。

1. 過払い金が発生している可能性がある。

平成22年6月18日より以前から消費者金融等からキャッシングによる借入れをしていた場合には、グレーゾーンと言われる違法な金利(上限29.2%)をとられている可能性がありますので、債務の減額、場合によっては過払い金が発生している可能性もあります。

しかし、特定調停の申立てをしても過払い金が自動的に返ってくるわけではありません。

別途、過払い金請求をしなければならず、結局は司法書士や弁護士等の専門家に依頼をしなければなりません。

それであれば、最初から任意整理の依頼を司法書士や弁護士等にご依頼いただくことをお勧めいたします。

2. 債権者が多数いる、もしくは遠方にいる。

特定調停は、原則として債権者の住所地を管轄する簡易裁判所に申立をしなければなりません。

当然のことですが、債権者ごとに住所は異なりますので、債権者によって管轄の簡易裁判所も異なります。そうすると、複数の簡易裁判所に申立てを行う必要があり、手続きが面倒になります。

また、債権者の数が多いと、裁判所に出頭する回数も増えることにもなり、時間、労力、費用も必要となります。

したがって、債権者が多い場合には、司法書士、弁護士等の専門家に任意整理の手続きを一括で依頼することにより、簡単に手続きができますのでお勧めです。

3. 裁判所に出頭しないで手続きをしたい。

特定調停は、原則として債権者の住所地を管轄する簡易裁判所に申立をしなければなりません。

近くに簡易裁判所がないと、遠方の裁判所まで何度も出頭する必要もあり、時間と費用もかかります。

それから、裁判所に行かなければならないという精神的な不安やストレスも生じることもあるかと思います。

任意整理の手続きであれば、司法書士や弁護士等の専門家が、すべての手続きを代理して行いますので、不安やストレスからも解放されるためお勧めです。

4. 36回以上の返済回数で返済をしたい。

特定調停は、原則36回(3年)での支払いをすることになります。

また、結果によっては、調停が不成立となることもあります。(調停の成立率は3%~14%となります。)

それに対して、任意整理の手続きは、返済実績にもよりますが、36回~60回の分割払いに応じてもらうことも可能です。

36回でも支払いが難しい場合には、任意整理の手続きを司法書士、弁護士等の専門家に依頼していただくことをお勧めいたします。

5. 債権者からの取り立てをすぐにストップしたい。

特定調停の申し立ては、ご自身でやっていただくことになるため、申し立てに必要な書類の作成や準備に時間がかかります。

そのため、申立てをするまでの間は、債権者に対する支払を続けなければなりません。

債権者への支払が遅れている場合には、電話や督促状など厳しい取り立てをされることもあります。

一方、任意整理の手続きであれば、司法書士や弁護士等の専門家に相談して依頼をすれば、すぐに債権者の取り立てをストップすることができます。

特定調停のQ&A

Q

特定調停と任意整理との違いはなんですか?

A

将来利息のカットを行うという点ではどちらも同じですが、任意整理は司法書士や弁護士等の専門家に依頼して手続きをしてもらう手続きなのに対して、特定調停はご自身で裁判所に対し申し立てを行う手続きです。

過払い金が発生している場合には調停の場で取り戻すことができないため、特定調停とは別に司法書士や弁護士の専門家に過払い金請求の依頼をするか、ご自身で過払金返還請求訴訟を提起しなければなりません。

Q

特定調停は自分でも簡単に手続きできますか?

A

債務整理手続きの中では最も簡易に手続きができるため、ご本人様で書類を作成されて裁判所に申し立てることもできます。また、債権者との間に裁判所を挟むことができるため一方的に債権者の言い分を通されてしまうこともないため可能であると思われます。

ただし、債権者が要求に応じてくれないと調停が不成立になることがありますので注意が必要です。

Q

特定調停を行うと家族や保証人に迷惑がかかりますか?

A

家族が保証人等になっていなければご家族に返済義務はありませんので影響はありません。しかし、保証人の場合には特定調停を行っても保証人に効力が及びませんので債権者から保証人に対して請求がいくことになります。手続きの前に保証人に対ししっかりと説明しておくことが必要になります。また、場合によっては保証人の方も一緒に手続きを行う必要があります。

Q

特定調停は一部の債権者を除いて手続きすることができますか?

A

自己破産や個人再生は全ての債権者を含めて申し立てを行わなければなりませんが、任意整理と同様、特定調停は手続きを行いたい債権者を選択することができますので、住宅ローン、自動車ローンなど手続きを行った場合に債権者より引き上げされる可能性があるものについては除くこともできます。

Q

特定調停を申し立てても成立しない場合はありますか?

A

特定調停を申立てても裁判所に出頭もしてこない貸金業者もいますが、そのような業者に対しては民事調停法17条による決定がされるか、不成立として終了することになります。17条決定とは調停が成立する見込みがない場合に、裁判所が申立ての趣旨に反しない範囲内で、職権で行なう決定です。ただし、貸金業者から異議が出れば17条決定の効力は失われます。

調停が不成立として終了してしまったり、17条決定がされたにもかかわらず異議により効力が失われた場合は、自己破産か個人再生を選択するか、訴訟手続きに移行させて争う必要があります。

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