自己破産実例1|2度目の破産でも免責が認められた方法

自己破産の実例 ケース1

過去に自己破産を経験、再び借金問題に直面…二度目の自己破産はできるのか?

お悩み(名古屋市在住・Tさん/40代・会社員)

「10年前に自己破産を経験し、二度と同じことは繰り返したくない」──そう語るTさんは、破産後は借金を避け、慎重に生活してこられました。
しかし、お母様のご逝去に伴う葬儀費用をまかなうため、やむを得ず勤務先や消費者金融から借入れを行うことに。

その後も、家計を支えるため懸命に返済を続けていましたが、持病の悪化による休職や、お子様の進学に伴う高額な教育費の発生など、生活の中で避けられない支出が重なっていきました。

さらに、日々の生活費に加えて、奥様のご両親への仕送りや、お子様の学費・仕送りなどの負担が家計を圧迫し、「借金を返すためのお金がどこからも捻出できない」という深刻な状況に追い込まれてしまったのです。

問題となるポイント

  1. 過去に自己破産をしていても、再び自己破産の手続きは利用できるのか?
  2. 葬儀費用や生活費のための借入れでも、自己破産は認めてもらえるのか?
  3. 病気による休職や家族の仕送りなどがあっても、返済能力ありと見なされるか?
  4. 教育費や仕送りの負担がある場合でも、自己破産の手続きは使えるのか?

現状

借金及び財産の状況

借入先 借金 財産
消費者金融3社 約140万円 ・家財道具
・預貯金
信販会社2社 約160万円 ・バイク
・予定退職金
合計 約300万円 合計 約3万円

*バイクの取り扱いについて

バイクについては、ローンが完済済みで、初年度登録から7年以上が経過している場合には、財産価値がゼロとみなされます。そのため、原則として手放す必要はありません。

※ただし、登録から7年未満の場合には査定書の提出が必要となり、査定額によっては処分(手放す)を求められる可能性があります。

*予定退職金の評価について

「予定退職金」とは、現在の勤務先を退職した場合に受け取れる退職金見込額を指します。

実際に退職する必要はありませんが、会社の退職金規定や証明書類(予定退職金額が明示された書面)の提出が必要です。

なお、予定退職金は8分の1相当額を財産として評価・計上する必要があります。

*生活必需品の取り扱いについて

冷蔵庫・洗濯機・テレビなどの生活必需品については、原則として処分不要で、そのまま手元に残すことが可能です。

ただし、次のようなケースでは注意が必要です:

  • ローンが残っている生活家電や家具などは、価値ありと判断されると手放す対象となる。
  • 貴金属・絵画・骨董品など換価性の高い財産がある場合は、処分や申告が求められる場合あり。

月々の家計の状況

収入 支出
Tさんの収入 約25万円 生活費(家賃、食費等) 約21万円
保険料等 約2万円
奥様の収入 約15万円 子供・両親への仕送り 約15万円
Tさんの借金返済 約15万円
合計 約40万円 合計 約53万円

※月々の収入から借金の返済を除いた支出合計を引くと2万円となります。これが余剰金(月々の収入から返済に充てることができる金額の基準)です。

解決のご提案

T様ご夫妻の毎月の世帯収入は約40万円でしたが、生活費・お子様の学費・ご両親やご自身の親族への仕送りなど、借金の返済を除いた支出合計は約38万円に上り、返済に充てられる余剰金は月わずか2万円程度という状況でした。

さらに、取引期間が短く、限度額の増枠もあったため、任意整理では返済をしていくことは困難と判断しました。また、今後はお子様の進学費用などで家計支出がさらに増えることが見込まれており、現状でも精一杯の生活をしている中、借金の完済は現実的に困難であると判断いたしました。

T様ご自身は、過去に一度自己破産を経験していたことから「今回は返済で解決したい」と強く望まれていましたが、家計状況・財産状況・今後の支出増の見通しを総合的に検討し、再度の自己破産手続きが最も現実的かつ負担の少ない選択肢であると判断。

なお、T様には高額財産はなく、住宅・自動車等も所有していないため、自己破産による財産処分の可能性も非常に低く、生活再建のためには最良の方法であるとご説明し、最終的にご納得いただいた上で、当事務所にて破産手続きを受任いたしました。

チェックポイント

  • 毎月の返済可能額が2万円と非常に少ないこと
  • 借入期間が短く、任意整理では大幅な減額が見込めないこと
  • お子様の進学や仕送り等で、今後の家計支出がさらに増える見込みがあること
  • 自己破産をしても処分すべき財産が存在しないこと
  • 一度自己破産を行うと、原則として7年間は再度の自己破産ができない
  • 会社員が自己破産を行う際には、「退職金規定」または「予定退職金の証明書」の提出が必要になる

手続きの結果

T様は過去に一度、自己破産を経験していたことから、今回の申立てについても「厳格な審査を受けるのではないか」「複数回の裁判所への呼出しがあるのでは」といった不安を抱えていらっしゃいました。

しかしながら、当事務所による丁寧な事前準備と立証書類の整理により、裁判所からの追加資料提出や複数回の呼出しは発生せず、「免責審尋」のみで無事に免責許可が下りました。

このように、過去に自己破産をしていても、再度の自己破産が認められるケースがあります。

手続きの期間と費用

手続き期間:
受任からの申立てまで約2か月,申立てから免責許可まで約3か月、合計約5か月
費用:
当事務所報酬(着手金を除く):35万円(申立時に一括払い)

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