自己破産実例7|任意整理でも返済困難に…個人事業の借金をゼロにした方法

自己破産の実例 ケース7

任意整理後も個人事業の経営悪化が続き、自己破産を決断

お悩み(名古屋市在住・Mさん/50代・自営業)

お悩み(名古屋市在住・Mさん/50代・自営業)

「過去に任意整理を行い、返済を継続していましたが、業績悪化により収入が減少し、どうしても支払いができなくなりました。」
Mさんは7年前、それまで勤めていた会社を辞めて独立開業し、個人事業をスタートされました。事業の立ち上げにあたり、店舗の賃借や設備の購入資金として銀行からの借入れを行いました。当初は、数名の従業員を雇い、順調に売上も上がっていたため、借入金の返済も問題なく続けられていました。

しかし、開業から3年ほど経過した頃から徐々に売上が減少し始め、4年前には経営が本格的に悪化。銀行からの追加融資も断られるようになり、やむを得ず消費者金融からも資金を借り入れ、いわゆる「自転車操業」の状態に追い込まれてしまいました。

経営の立て直しを図るため、1年前には任意整理を行い、借入金を整理した上で分割返済を開始。しかし、さらに業績が落ち込み、事業の維持そのものが困難となったため、返済継続も難しくなり、今回当事務所へ自己破産の相談にお越しになりました。

問題となるポイント

  1. 任意整理をして返済を継続していたが、経営悪化により再び支払えなくなった場合、自己破産への切り替えは可能か?
  2. 消費者金融からの借入れが自転車操業的に行われていた場合でも、免責が認められるのか?
  3. 自営業の廃業や設備処分の有無は、破産手続きにどのような影響を与えるのか?
  4. 任意整理から自己破産に移行する際、債権者との関係や信頼性に問題は生じないのか?
  5. 複数回の債務整理歴があると、裁判所から不誠実と判断される可能性はあるのか?

現状

借金及び財産の状況

借金

借入先 借金 財産
消費者金融 8社 約400万円 ・自動車
・家財道具
・預貯金
信販会社・銀行 2社 約680万円
取引先 5社 約300万円
合計 約1380万円 合計 約14万円

*自動車について

自動車はすでにローンが完済されており、かつ初年度登録から7年以上が経過しているため、財産価値は「0円」として扱われました。

※なお、登録から7年未満の車両については査定書の提出が必要となり、査定額によっては手放す必要がある場合もあります。

月々の家計の状況

収入 支出
Mさんの収入 約27万円
配偶者の収入 約16万円
生活費(家賃、食費等)約28万円
保険料・積立金 約5万円
債務の返済 約20万円
合計 約43万円 合計 約53万円

※月々の収入から借金の返済を除いた支出合計を引くと10万円となります。これが余剰金(月々の収入から返済に充てることができる金額の基準)です。

解決のご提案

再度任意整理をしても借金の減額効果はほとんど期待できず、また自己破産に支障となる事情もなかったため、当事務所では自己破産の手続きをご提案いたしました。

Mさんご夫婦の月間収入は合計約43万円ありましたが、借金返済を除いた生活費・支出だけで約33万円を要しており、差し引き月10万円の余剰金がある状態でした。しかし、債務総額は1,380万円に及び、1年前に任意整理を済ませていることからこれ以上の減額は見込めず、このままでは完済の見込みが立たない状況でした。

手続きの選択肢としては「個人再生」もありましたが、個人再生の場合、1,380万円の5分の1である276万円を3年間で分割返済する必要があり、月あたりの返済額は約77,000円。Mさんの収入は月によって変動が大きく、月収20万円以下になることもあるため、この水準で3年間返済を継続するのは現実的ではありませんでした。

また、借金の原因は事業資金によるものであり、免責不許可事由に該当する事情も特に認められませんでした。高額な事業用資産(機械・設備等)や、売掛金などの回収可能な債権も存在せず、清算性や資産状況にも問題がなかったため、自己破産の要件を十分に満たしていると判断し、正式に手続きを受任いたしました。

チェックポイント

  • 月収の変動が大きく、収入が20万円を下回る月もあるため、安定した返済計画を立てにくい
  • 借金の原因が事業資金であり、免責不許可事由に該当しない
  • 事業用の高額資産(機械や設備)や売掛金などが存在しないため、清算に支障がない
  • 1年前に任意整理を行っており、再度任意整理をしても債務減額はほぼ見込めない
  • 無理に個人再生を選択すると、返済不能に陥るリスクが高い

手続きの結果

Mさんは事業用に一部の機械器具や備品を所有していましたが、いずれも高額ではなく、市場価値が乏しいと判断されました。そのため、裁判所からは「換価処分の必要がない」と評価され、破産手続は「同時廃止」として進行。結果として、無事に免責許可決定が下り、借金全額の返済義務を免除される形となりました。

任意整理をしても返済が困難だった借金を、自己破産によって法的に整理した実例です。

手続きの期間と費用

手続き期間:
受任からの申立てまで約4か月、申立てから免責許可まで約3か月、合計約7か月
費用:
当事務所報酬(着手金を除く):45万円(月々3万円の分割払い)

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