自己破産実例4|体調不良で個人事業を廃業した夫婦が生活再建を実現した方法

自己破産の実例 ケース4

自営業者が体調不良で働けなくなり、夫婦で自己破産を決断

お悩み(名古屋市在住・Wさん/50代・自営業)

お悩み(名古屋市在住・Wさん/50代・自営業)

「20年以上頑張ってきましたが、もう返済は限界です。これからの生活を考えると不安で仕方ありません…」
Wさんは、長年にわたり自営業を営み、奥様も一緒に店舗経営を支えてこられました。3年前までは順調に生活を営んでいましたが、Wさんが病気を発症し、手術や長期入院を余儀なくされたことから、自営業の継続が困難になり、廃業を決断されたとのことです。

もともと自営業の運転資金として金融機関からの借入れがあったほか、入院費・手術費などの医療費負担も重なり、Wさんだけでなく奥様も消費者金融から借入れをする状況に陥ってしまいました。

現在はご夫婦でパート勤務をされていますが、無収入だった期間が長かったこともあり、借金総額が大幅に増えてしまったとのこと。生活の立て直しに向けて真剣にご相談いただきました。

問題となるポイント

  1. 自営業を廃業した後、借入れだけが残ってしまった場合でも、自己破産は認められるのか?
  2. 医療費や生活費のための借金でも、自己破産の対象になるのか?
  3. 夫婦のうち両方に借金がある場合、必ず一緒に自己破産しなければならないのか?
  4. 無職の期間があったことで、手続きに不利に働くことはあるのか?

現状

借金及び財産の状況

W様の借金

借入先 借金 W様の財産
銀行1社 約300万円 ・家財道具
消費者金融7社 約250万円
・自動車
信販会社2社 約100万円
合計 約650万円 合計 約10万円

奥様の借金

借入先 借金 奥様の財産
消費者金融5社 約300万円 ・家財道具
信販会社1社 約30万円
合計 約330万円 合計 約3万円

*自動車について

自動車はすでにローンが完済されており、かつ初年度登録から7年以上が経過しているため、財産価値は「0円」として扱われました。

※なお、登録から7年未満の車両については査定書の提出が必要となり、査定額によっては手放す必要がある場合もあります。

*家財道具について

冷蔵庫・テレビ・洗濯機などの生活必需品は、原則として処分の対象にはなりませんので、そのまま保持することが可能です。

ただし、ローンが残っている場合は原則として返却が求められる可能性があります。また、生活必需品以外の貴金属・高級家電・絵画などの資産価値の高い品物については、換価対象となることがありますので注意が必要です。

月々の家計の状況

収入 支出
Wさんの収入 約12万円 生活費(家賃、食費等) 約15万円
保険料等 約1万円
奥様の収入 約7万円 Wさんの借金返済 約12万円
奥様の借金返済 約7万円
合計 約19万円 合計 約35万円

※月々の収入から借金の返済を除いた支出合計を引くと3万円となります。これが余剰金(月々の収入から返済に充てることができる金額の基準)です。

解決のご提案

自営業を廃業されたばかりのWさんご夫婦の場合、万が一「資産(未収金・備品・機材等)」が確認されると破産管財事件となり、数十万円規模の管財費用が発生するおそれがありました。

しかし、ヒアリングの結果、廃業後は売掛金・機材などの資産は残っておらず、財産性のあるものは存在しないと判断できたため、通常の「同時廃止型自己破産」が可能と判断し、ご提案いたしました。

収入状況としては、Wさんご夫婦の合計収入が月額19万円。そこから借金返済を除いた生活支出が16万円となっており、月々3万円の余剰金しかなく、長期的な返済は困難な状態でした。

さらに、債務の内訳を見ても、銀行からの借入れが約10年に及び、利息も法定利率内だったため、任意整理での大幅減額も期待できない状況でした。

また、消費者金融や信販会社からの借入れも期間が短く、利息引き直しによる減額余地が乏しかったことから、債務全体の圧縮は難しいと判断しました。

なお、銀行借入れには知人が保証人として関与していました。破産手続きを行えば、その保証人に請求がいく可能性があることを丁寧にご説明したところ、知人の方も事情を理解し、返済を引き受ける意向を示していただけたため、障害もなく進めることができました。

ご夫婦は車を保有していましたが、初年度登録から7年以上経過していたため財産価値はゼロと評価され、破産手続きの支障とはなりませんでした。こうした全体状況から、財産処分や管財費用も不要で、早期に生活再建を図れる自己破産が最善の選択肢と判断しました。

チェックポイント

  • 月々の返済可能額が3万円と少なく、返済継続は現実的ではなかったこと
  • 消費者金融・信販会社の借入期間が短く、引き直し計算による減額の見込みがなかったこと
  • 保証人付きの借金がある場合、自己破産によって保証人に請求が及ぶことがある
  • 自営業を現在営んでいる方や、近年廃業した方は、直近の確定申告書の提出を求められる場合がある
  • 未収金や事業用機材が残っている場合には財産と評価され、管財事件に移行する可能性がある

手続きの結果

Wさんご夫婦は、夫婦そろって自己破産を同時に申し立てるという形を取りました。

このようなケースでは、双方の家計状況や生活実態、資産状況などを個別かつ慎重に審査されるため、通常よりも時間がかかることもありますが、今回はスムーズに進行し、両名とも無事に免責許可決定が下りました。

保証人付きの借金や自営業の廃業後でも、夫婦そろって自己破産による免責が認められた実例です。

手続きの期間と費用

手続き期間:
受任からの申立てまで約3か月,申立てから免責許可まで約3か月、合計約6か月
費用:
当事務所報酬(着手金を除く):76万円(月々2万円の分割払い)

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