債務整理Q&A(21〜30)|司法書士【20年1500件超】が回答

このページでは、「債務整理全般」のよくあるご質問にQ&A形式でわかりやすく解説しています。
任意整理・自己破産・個人再生など、手続きの選び方から注意点まで幅広く対応。

名古屋で20年以上・債務整理1,500件超の実績をもつ司法書士事務所LEGAL SQUARE(代表司法書士・寺田好克)が、全国対応・Zoom相談にも柔軟に対応し、実務に基づいて具体的にアドバイス。

秘密厳守で安心の無料相談もご用意していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

債務整理全般Q&A(21~30)

Q21

債務整理の手続き開始後には借入れが禁止されるのは理解していますが、返済までも禁止されるのはなぜですか?

A

それは、すべての債権者を平等に扱う必要があるためです。

特に自己破産や個人再生のような法的債務整理では、手続き開始後に特定の債権者へ返済することは、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」とみなされる恐れがあります。

偏頗弁済とは?

債務者が、ある特定の債権者にだけ優先して返済を行うことを「偏頗弁済」と呼びます。この行為は、他の債権者との公平性を損なう重大な問題とされており、特に自己破産手続きでは、以下のようなリスクがあります。

  • 裁判所から免責(借金の免除)を受けられなくなる可能性がある(=免責不許可事由に該当)
  • 手続きが中断・却下されることもある

債務整理を開始したら「借入れも返済も原則禁止」

債務整理開始後は、以下の行動を避ける必要があります:

  • 新たな借入れ
  • 返済(例:自動引き落としの継続、コンビニ支払いなど)
  • 第三者を通じた一部弁済(家族名義など)

まとめ

  • 債務整理手続き中は、債権者間の公平性を保つ必要がある
  • 特定の債権者への返済=偏頗弁済とみなされる可能性
  • 特に自己破産では免責が下りないリスクもある
  • 債務整理手続き開始後は、借入れ・返済ともに原則禁止

当事務所では、手続き開始時に「やってはいけない行動一覧」や「注意点」を丁寧にご案内しています。不安がある場合は、事前に専門家へご相談ください。

Q22

債務整理の手続き開始後には、借入れ行為が禁止されると聞きましたが、ETCカードを車に入れっぱなしにしていたため、うっかり高速料金の支払いに使ってしまいました。この場合でも債務整理の手続きはできますか?

A

基本的には、債務整理の手続きは引き続き可能です。

今回のように、故意ではなく過失によってETCカードを使用してしまったケースであれば、債務整理手続きに重大な支障をきたすことは少ないと考えられます。

ETCカードの利用も「借入れ」に該当する

ETCカードは、利用の都度カード会社が一時的に立替払いを行う仕組みのため、債務整理開始後の利用は「新たな借入れ行為」に該当する恐れがあります。

ただし、本件のように「うっかり使用してしまった」ケースで、かつ少額である場合には、手続きに重大な影響を及ぼすことは通常ありません。

今後の対応と注意点

  1. すぐにETCカードの利用を中止してください。
    ⇒ 車両から取り外し、カード会社にも連絡の上、利用停止手続きを行うことが望ましいです。
  2. 速やかに依頼先の司法書士または弁護士にご報告ください。
    ⇒ 状況を正確に伝えることで、今後の対応について適切なアドバイスが受けられます。
  3. 再発防止策を講じましょう。
    ⇒ 高速道路の利用を控える、現金払いに切り替える、ETC機器からカードを抜いておくなどの対策を取ることが大切です。

故意や悪質な利用でなければ、手続きに影響は少ない

ETCカードの誤使用が一時的・少額・故意でない場合であれば、債務整理手続き自体が無効になることは基本的にありません。

ただし、今後の信頼関係や交渉の進行に影響を与えることもあるため、正直に報告し、速やかに対応することが重要です。

まとめ

  • ETCカードの誤使用は「借入れ」に該当するが、過失であれば手続き続行は可能
  • すぐに使用中止・事務所へ報告が必要
  • 再発防止策を徹底し、信頼関係を保つことが大切

ご不安な場合は、状況に応じた対応を行いますので、できるだけ早く当事務所にご相談ください。

Q23

債務整理の手続きをすると、ショッピングカードで購入した商品はカード会社に返却しなければならないのですか?

A

すべての商品を返却する必要はありませんが、一定の条件に該当する場合には返却が求められることがあります。

債務整理の手続き後でも、すでに支払いが完了している商品や、少額で中古価値の低い商品については、原則として返却の必要はありません。

返却を求められるケースとは?

以下のような条件に該当する場合には、カード会社から商品の引き上げ(返却)を求められることがあります。

  • 商品の代金を分割払い(割賦契約)で購入しており、まだ返済が完了していない
  • 商品の価格が高額(おおむね20万円以上)
  • 商品がまだ新しく、転売すれば資産価値があると判断されるもの

たとえば、20万円相当のテレビやパソコンなどを割賦購入していて、残債が残っている場合には、カード会社が所有権を保留しているため、商品を引き上げられる(返却を求められる)可能性が高いです。

日用品や生活必需品は返却の対象外

洗剤、衣類、家具、化粧品、雑貨などの日常的な消耗品や中古で価値がつかない物については、たとえ割賦で購入していた場合でも、返却を求められる可能性はほとんどありません。

ご不安な場合は事前相談を

債務整理のご相談時に、どの商品が返却対象となる可能性があるか、具体的に確認いたします。

「この商品は対象になるのか?」といった個別のご相談にも対応しておりますので、遠慮なくご相談ください。

まとめ

  • すべての商品を返却する必要はありません
  • ただし、高額かつ未払い残債があり、換金価値の高い商品は、カード会社から返却を求められることがあります
  • ご不安な場合は、早めに専門家にご相談ください

司法書士事務所LEGAL SQUAREでは、手続き前に丁寧なヒアリングを行い、返却の必要性についても具体的にアドバイスしております。

Q24

一度依頼した任意整理を取りやめて、元通りの返済に戻すことは可能ですか?

A

原則として、任意整理を取りやめて元の返済に戻すことはできません。

任意整理は、司法書士や弁護士が債権者と新しい返済条件を交渉する正式な債務整理手続きです。
このため、一度でも「受任通知(債権者への介入通知)」が送付されると、元の契約(従来の返済条件)は失効し、法的にも「新たな交渉ステージ」に入ります。
任意整理を途中で「やはりやめたい」と申し出ても、債権者はそれを受け入れる義務がなく、元通りの返済スケジュールに戻すことはほぼ不可能です。

任意整理を取りやめた場合に起こる主なリスク

  1. 債権者から一括請求を受ける可能性
    分割交渉が無効となり、遅延損害金も加算されることがあります。
  2. 信用情報(いわゆるブラックリスト)への登録が残る
    任意整理を途中でやめても、信用情報には「債務整理の事実」が登録され、おおむね5〜7年は新規借入やローン審査が厳しくなります。
  3. 再交渉が困難になる
    一度中断したことで債権者からの信頼を失い、再度任意整理を行う際に「交渉拒否」や「厳しい条件提示」を受けることもあります。

どうしても返済方法を見直したい場合の対応策

もし、生活状況の変化などで返済計画の見直しが必要になった場合は、手続きを中断するのではなく、「再交渉」または「他の手続きへの切り替え」を検討しましょう。

  • 再交渉(和解条件の変更)
    月々の返済額や期間の再調整を、司法書士を通じて債権者に再提示する方法です。
  • 個人再生・自己破産への移行
    返済継続が難しい場合には、より抜本的な法的整理を選ぶことも可能です。

どちらの選択肢も、途中放棄よりはるかに再建可能性が高いといえます。

ポイント

  • 任意整理を取りやめても元の返済契約には戻れない
  • 一度「受任通知」が出ると、元契約は法的に終了。
  • 中断は信用情報・再交渉・債権者対応のすべてに悪影響。
  • 返済が難しい場合は、司法書士を通じた再交渉または他の手続きへ移行を。

まとめ

任意整理は「一時的な相談」ではなく、正式な債務整理手続きです。開始後に中断すると、元の契約には戻れず、債権者からの請求や信用情報への影響も避けられません。
返済が続けにくくなった場合は、自己判断でやめる前に、経験豊富な司法書士に早期相談して、最適な再構築プランを立てることが再生の第一歩です。

Q25

保証人がついている借金を債務整理する場合、保証人に請求がいかないようにすることは可能ですか?

A

保証人への請求を完全に防ぐことはできませんが、影響を最小限に抑える方法はあります。

債務整理(任意整理・個人再生・自己破産など)を行うと、債権者は主債務者(本人)への請求を止める代わりに、保証人に返済を求めることができます。
これは「保証債務」として民法上認められているものであり、債務整理をしても保証人の返済義務は消えません(民法第446条、第457条)。

そのため、「自分だけ整理して保証人に迷惑をかけたくない」という場合には、保証人付きの債務を任意整理の対象から除外するという対応を取ることが検討されます。ただし、除外した借金については、本人がこれまでどおり返済を続けなければなりません。

保証人への請求を防ぐためにできる工夫

  1. 保証人付き債務を任意整理の対象外にする
    保証人がいる借金は交渉対象から外し、それ以外の借金だけを任意整理することができます。ただし、この場合でも返済を継続する必要があるため、支払い計画の見直しが重要です。
  2. 保証人にも同時に債務整理を行ってもらう
    保証人にも支払い能力の問題がある場合、同時に任意整理や個人再生を行うことで、債権者への対応を統一し、請求リスクを軽減することができます。
  3. 事前に保証人へ事情を説明しておく
    最もトラブルが起きやすいのは、「保証人に何も知らせないまま手続きを進めるケース」です。債務整理の通知が届くと突然請求がいくため、事前に誠実な説明を行うことが信頼維持の鍵となります。

手続きごとの保証人への影響比較

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手続きの種類 保証人への影響 主な特徴
任意整理 対象外にすれば請求を防げるが、原則は請求される 交渉に柔軟性がある
個人再生 保証人は返済義務を負う(請求あり) 大幅減額が可能だが保証人保護は難しい
自己破産 主債務者は免責されるが、保証人に一括請求 借金が全て免除されるが保証人に負担集中

ポイント

  • 債務整理を行っても、保証人の返済義務は免れない。
  • 任意整理で対象から外せば、保証人への請求を回避できる可能性がある。
  • 保証人と事前に話し合い・同時手続きを行うことが最も現実的な防止策。
  • 司法書士が関与すれば、債務ごとに整理対象を慎重に設計できる。

まとめ

保証人付きの借金を債務整理する場合、保証人への請求を完全に避けることはできません。
しかし、任意整理の対象を選別したり、保証人と同時に整理手続きを進めることで、保証人への影響を最小限に抑えることは十分可能です。特に「家族や友人に迷惑をかけたくない」という方は、事前に司法書士へ相談し、保証人の状況を踏まえた最適な整理プランを立てることが重要です。
専門家による手続き設計が、円満な解決と信頼関係の維持につながります。

Q26

債務整理の手続き前に保証人を外す方法はありますか?

A

残念ながら、債務整理の前に保証人を外すことは、原則としてできません。

保証人は、主債務者(お金を借りた本人)が返済できなくなったときに、代わりに返済を行う法的義務を負う存在です。
この保証契約は、主債務者と保証人の間の約束ではなく、債権者(貸主)と保証人との間の独立した契約として成立しています。
そのため、本人の意思だけで保証人を外すことはできず、債権者の同意がない限り保証契約は解除できません(民法第446条、第457条)。

保証人を外すことが難しい理由

  • 保証契約は「債権者との契約」だから
    保証人を外すには、債権者が正式に解除に同意する必要があります。主債務者や保証人が「やめたい」と申し出ただけでは、契約上の効力は失われません。
  • 債権者にとってリスクが高いため
    保証人を外すと、貸したお金を回収できないおそれがあるため、金融機関が承諾するケースはごく稀です。
  • 保証契約は融資時の条件に組み込まれている
    契約時に保証人を前提として融資が実行されているため、契約途中で一方的に変更することは実務上ほぼ不可能です。

例外的に検討できる方法

保証人を「外す」ことは困難ですが、次のような代替策で影響を減らす・請求を避けることは可能です。

  • 債権者と交渉して保証人を変更・解除してもらう
    債権者が同意すれば、保証契約を解除または別の保証人に変更できる場合があります。
    ただし、その際には新たな保証人の立て替えや追加担保の提供が求められるのが一般的です。
  • 保証人不要ローンへの借り換え(おまとめ)
    信用情報に問題がなければ、保証人不要のローンに組み替えることで実質的に保証人を外す効果が得られる場合があります。
    ただし、返済負担が増えたり金利が高くなるリスクもあるため、慎重な判断が必要です。
  • 保証人と同時に債務整理を行う
    保証人に請求が及ぶことを避けるには、主債務者と保証人が同時に任意整理や個人再生を行う方法があります。
    これにより、債権者への対応を一元化し、請求トラブルを未然に防ぐことができます。

債務整理手続き前にやるべきこと

  • 保証人付きの借金を整理対象から除外するかどうかを検討する
  • 保証人に手続き内容を事前に説明し、トラブルを防ぐ
  • 保証人自身も債務整理を検討できるよう情報を共有する
  • 必ず司法書士・弁護士を通じて債権者との調整を図る

ポイント

  • 債務整理の前でも、本人の意思だけで保証人を外すことはできない。
  • 保証契約解除には、債権者の正式な同意が必須。
  • 例外的な対処として、借り換え・保証人同時整理・司法書士交渉が現実的。
  • 保証人との信頼関係を保つには、事前説明と専門家相談が不可欠。

まとめ

債務整理前に保証人を外すことは、法律上も実務上も原則不可能です。
しかし、債権者との交渉や借り換え、保証人との同時手続きなど、保証人への請求リスクを軽減する現実的な方法は複数あります。
「家族や友人に迷惑をかけたくない」「保証人に請求がいかない方法を探したい」
──そのような場合は、早めに司法書士へ相談し、保証人への影響を最小限に抑えるための債務整理プランを立てることが最善策です。

Q27

保証人と連帯保証人の責任はどのように違うのですか?

A

保証人よりも、連帯保証人の方がはるかに重い責任を負います。

保証人と連帯保証人はいずれも「他人の借金を保証する立場」ですが、責任の範囲と請求されるタイミングが大きく異なります。
特に連帯保証人は、主債務者(借りた本人)と同じ義務を負うため、実際には「自分が借りたのと同じ責任」を持つことになります。

法律上の違い(わかりやすく整理)

比較項目 保証人 連帯保証人
債権者からの請求 本人が支払えない場合に請求される 本人に代わって、いきなり全額を請求される
主張できる権利 「まず本人に請求してほしい」と主張できる(催告の抗弁権)
「自分の負担分だけ払う」と主張できる(分別の利益)
どちらの権利も一切ない(本人と同等の立場)
責任の重さ 補助的な立場(本人の代わりに支払う) 本人と同等の立場(全額を請求される可能性)
債務整理時の影響 本人が整理しても、請求が回ってくる場合がある 本人が破産・整理しても、全額を請求される

実際のトラブル例と注意点

  • 主債務者(借りた人)が任意整理や自己破産をすると、連帯保証人に一括請求が届くケースが多くあります。
  • 「保証人」と記載されていても、契約書の中で「連帯保証人とする」と明記されている場合、実際は連帯保証契約になっていることが非常に多いです。
  • 保証人を引き受ける前には、自分の返済能力を超えた金額にならないか、どの契約形態なのか(保証人か連帯保証人か)を必ず確認することが重要です。

ポイント

  • 連帯保証人は、本人と同じ返済義務を負う。
  • 債権者は、本人を飛ばして連帯保証人に直接請求できる。
  • 通常の保証人は「催告の抗弁権」「分別の利益」により、責任が一部に限定される。
  • 契約書上の呼称ではなく、「連帯保証条項」があるかを必ず確認すること。

まとめ

保証人は「本人が返せないときに支払う人」ですが、連帯保証人は「最初から本人と同じ責任を負う人」です。
そのため、主債務者が債務整理をしても、連帯保証人は免責されません。
保証人や連帯保証人になる前には、契約内容をよく確認し、もし既に保証人となっている場合は、債務整理の際に保証人・連帯保証人にどのような影響が及ぶのかを、司法書士に相談しておくことが、トラブルを防ぐ第一歩となります。

Q28

保証人や連帯保証人であっても任意整理は可能ですか?

A

はい、保証人や連帯保証人であっても任意整理は可能です。ただし、いくつかの注意点があります。

保証人や連帯保証人であっても、自分自身の「保証債務」を対象として任意整理を行うことができます。
たとえば、主債務者(お金を借りた本人)が返済できず、債権者から保証人に請求が来た場合、保証人自身が司法書士を通じて任意整理を行うことで、返済負担を軽くすることが可能です。
ただし、主債務者との関係性や債権者の対応によって結果が変わるため、慎重な判断と専門家によるサポートが不可欠です。

保証人・連帯保証人も任意整理できる理由

保証人や連帯保証人は、法律上「主債務者とは別の独立した債務者」として扱われます。そのため、自分に対して発生している保証債務を整理する権利があります。つまり、本人が債務整理をしていなくても、保証人だけで任意整理の手続きを進めることが可能です。

注意すべき3つのポイント

  • 主債務者との連携が必要
    主債務者が任意整理や破産を行うと、請求が保証人に移ります。そのため、双方で協力して整理を進めることで、無用な請求やトラブルを防げます。
  • 連帯保証人は特に慎重に対応を
    連帯保証人は、主債務者と同じ返済義務を負うため、主債務者が整理しても、債権者から全額の請求を受ける可能性があります。
    同時に任意整理を行うことが最も効果的です。
  • 和解内容や減額条件が主債務者と異なることもある
    保証人・連帯保証人は、債権者ごとに個別交渉を行うため、利息カットや返済期間などの条件が異なるケースもあります。

任意整理の流れ(保証人・連帯保証人の場合)

  1. 司法書士が受任通知を送付し、債権者からの請求を一時停止
  2. 利息や将来利息のカットを含めた返済条件を交渉
  3. 和解が成立したら、新しい返済スケジュールで分割払いを開始

このように裁判所を通さずに交渉する任意整理は、比較的柔軟で、保証人自身の返済状況に合わせた解決が可能です。

ポイント

  • 保証人・連帯保証人でも任意整理は可能。
  • 主債務者との関係を考慮して、同時整理や事前調整が重要。
  • 連帯保証人は本人と同等の責任を負うため、一括請求のリスクに注意。
  • 司法書士が交渉すれば、利息カットや返済期間の調整も実現可能。

まとめ

保証人や連帯保証人であっても、任意整理を行うことは可能です。
ただし、主債務者と別に整理を進めると、債権者から双方に請求が重なるリスクがあります。
最も安全なのは、主債務者と保証人が同時に任意整理を行い、交渉を統一することです。また、保証人が複数いる場合や家族間で保証している場合には、トラブルを防ぐためにも、司法書士へ早期相談し、全体の整理計画を立てることが重要です。

Q29

主債務者が任意整理をして、連帯保証人が自己破産をするなど、別々の手続きを行うことはできますか?

A

はい、可能です。ただし、両者の手続きは密接に関係するため、慎重な進め方が必要です。

主債務者(お金を借りた本人)と連帯保証人は、それぞれ独立した債務者として扱われます。したがって、主債務者が「任意整理」を行い、連帯保証人が「自己破産」や「個人再生」など、異なる債務整理の手続きを選ぶことは法律上可能です。
ただし、どちらか一方の行動がもう一方に影響を与えるため、進め方の順序や内容には注意が必要です。

主債務者と連帯保証人が別の手続きを選べる理由

主債務者と連帯保証人は、同じ借金に関わっていても、それぞれに独立した返済義務があります。そのため、同じ債権者に対して異なる債務整理を行うことが認められています。

例として、以下のようなケースが考えられます。

  • 主債務者:任意整理(利息カットや分割払いを交渉)
  • 連帯保証人:自己破産(支払不能として免責を申立て)

このように、目的と経済状況に応じて手続きを分けることができるのが特徴です。

注意すべき3つのポイント

  • 連帯保証人が破産すると、主債務者への請求が集中する
    連帯保証人が自己破産をすると、債権者は保証人への請求ができなくなるため、主債務者に全額請求が移ります。
    → 主債務者の任意整理条件を現実的な返済額に調整しておく必要があります。
  • 主債務者が任意整理中に返済を滞納すると、保証人に影響が及ぶ
    主債務者の返済が止まると、債権者は保証人に代位請求を行うことができます。
    → 手続きの進行状況を司法書士が双方で共有し、連携をとることが大切です。
  • 債権者が同一の場合、情報が共有される可能性がある
    同じ金融機関に対して主債務者と保証人が異なる整理を行う場合、交渉条件に影響する可能性があるため、同一司法書士または協力事務所での一括管理が望ましいです。

主債務者と連帯保証人の手続き組み合わせ例

主債務者 連帯保証人 特徴と留意点
任意整理 自己破産 主債務者は返済継続、保証人は免責で終了。
個人再生 任意整理 主債務者は大幅減額、保証人は分割返済で再建を目指す。
任意整理 個人再生 主債務者は利息カット、保証人は再生計画で債務圧縮。
自己破産 自己破産 双方が支払不能の場合の最終手段。再出発が可能。

ポイント

  • 主債務者と連帯保証人は、別々の債務整理手続きを選べる独立した立場。
  • 一方の手続きが他方に影響するため、司法書士による全体調整が不可欠。
  • 特に保証人が破産する場合は、主債務者の返済計画を再設計することが重要。
  • 双方の手続きを同一事務所で進めると、条件調整や情報共有がスムーズ。

まとめ

主債務者が任意整理をし、連帯保証人が自己破産や個人再生を行うことは可能です。
ただし、それぞれが独立した手続きであっても、法的には互いに影響し合う関係にあります。誤った順序や独断で手続きを進めると、債権者への請求が偏ったり、返済条件が不利になることがあります。
そのため、実務経験のある司法書士に相談し、主債務者・保証人双方の立場を踏まえた最適な整理方法を同時に設計することが円満な解決への近道です。

Q30

保証人が主債務者の代わりに借金を返済した場合、その分を本人に請求することはできますか?

A

はい、可能です。保証人には「求償権(きゅうしょうけん)」という法的な返還請求権が認められています。

保証人が主債務者(お金を借りた本人)の代わりに借金を返済した場合、保証人は、自分が支払った分について主債務者に請求することができます。
これは「求償権」と呼ばれ、民法第459条により明確に定められた権利です。求償権は、他人の債務を立て替えた人が、支払った金額や費用を本人に請求できる権利であり、保証人が弁済した時点で自動的に発生します。

求償権が発生する流れ

  1. 主債務者が返済できなくなる
  2. 債権者が保証人に支払いを求める
  3. 保証人が代わりに支払いを行う(代位弁済)
  4. その瞬間に保証人へ「求償権」が発生
  5. 保証人は主債務者に支払分を請求できる

このように、保証人は返済を肩代わりして終わりではなく、自分が支払った金額・費用を正当に取り戻す権利を持っています。

求償できる範囲(民法第459条)

保証人が主債務者に請求できる金額は、次のとおりです。

  • 支払った元本(借金の残額)
  • 立て替えた利息
  • 支払いに必要だった手数料や費用(振込・郵送・交通費など)

つまり、保証人が支払うことで発生した実費すべてを主債務者に請求できるという仕組みです。

注意点と実務上の留意事項

  • 主債務者が自己破産すると、求償権は実際に回収できない可能性
    主債務者が破産した場合、保証人の求償権も「破産債権」として扱われ、返還を受けることは困難になります。
  • 支払い前に主債務者へ通知しておくと有利
    保証人が「これから支払う」と主債務者へ知らせておけば、後で「知らなかった」と争われる心配がなく、求償請求がスムーズになります。
  • 複数の保証人がいる場合は負担割合に応じて求償可能
    複数の保証人が連帯して支払った場合でも、自分の負担を超えて支払った分については他の保証人にも求償可能です。

ポイント

  • 保証人には、主債務者に対して返済額を請求できる「求償権」がある。
  • 求償の範囲は、元金・利息・費用など、実際に支払ったすべての金額。
  • ただし、主債務者が破産すると回収は困難になる。
  • 弁済前の通知や証拠書類(領収書など)を残しておくと安心。

まとめ

保証人が主債務者の代わりに借金を返済した場合、支払った金額を主債務者に請求できる「求償権」が自動的に発生します。
ただし、主債務者が自己破産している場合や返済能力がない場合は、実際にお金を取り戻すことは難しくなります。
保証人として返済を迫られている、あるいは既に支払ってしまった場合には、 求償の進め方・証拠の残し方・主債務者への請求方法を司法書士に相談することが確実です。法的な整理を適切に行うことで、後のトラブルを防ぐことができます。

当事務所では、手続き開始時に「やってはいけない行動一覧」や「注意点」を丁寧にご案内しています。
不安がある場合は、事前に専門家へご相談ください。

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司法書士事務所LEGAL SQUAREでは、1,500件を超える債務整理の実績に基づき、債権者ごとの交渉ノウハウを熟知しています。
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